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ファミリーマートはホームページに謝罪文を載せた。
https://www.family.co.jp/
https://www.family.co.jp/company/
https://www.family.co.jp/company/news_releases/2013/130720_1.pdf
『2013年7月20日
ファミリーマート加盟店従業員に関するお詫び
平素よりファミリーマートをご愛顧賜りまして誠にありがとうございます。
このたび、ファミリーマート加盟店の従業員が同店の防犯カメラで記録した映像をインターネット上に公開していることが判明いたしました。
関係各位には、多大なるご迷惑をお掛けしましたことを心からお詫び申し上げますと共に、今後同様の事態が発生しないよう、コンプライアンス指導を再徹底してまいります。
以上』
これだけの短いものだ。
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事件の概要(ネット情報の聞きかじり)
小田原市にある「ファミリーマート木村入生田店」。7月15日の朝、帰国中のマンチェスターユナイテッド所属「香川真司」選手が来店したらしい。それを聞いた別のアルバイト店員(19歳、大学生)が防犯カメラの録画映像を確認して、自分のスマホで撮影した。撮影した映像は7月19日夜、ツイッターに投稿された。
アルバイト店員のツイッターはその夜のうちに炎上を始め、ファミリーマートの店舗、店員の名前、通学先などが特定されてしまった。問題の店舗には翌20日朝に通報され、店員は解雇、ファミリーマートは謝罪を出した。広報担当はもし「香川真司」本人なら謝罪したいと答えたらしい。
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(疑問)
- ファミリーマートはこれで一件落着と思っているのだろうか?。
- ファミリーマートが言う「コンプライアンス指導」って何だろう?。
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ISMSチェック:順不同
- 「香川真司」本人なら謝罪すると受け答えした広報担当は駄目だろう。誰が移っていようが謝罪しなければいけない。誰であれ知り合いなどが見れば本人が特定され想定外の悪用も懸念される。ファミリーマートは有名人でなくても誰であれ謝罪すべきだ。こういう基本的なことを本社の人間が分かっていないのだからコンプライアンス指導は自分自身に向けられるべきだ。世間に恥をかいていることを分かってください。常識的には香川選手に確認の連絡をファミマ側から取るべきだろう。少なくとも店員が其の名前で映像をアップしているのだから。全く上から目線の対応だ。
- アルバイト店員は容易に防犯カメラの録画映像を見ることが出来ること自体に驚く。画像情報はHDDかテープに保管されている筈だが、ファミマのバイト経験者なら誰でも見ることが出来るのか。もし、万引きの様子を確認するなどの目的で、容易に閲覧できる環境がファミマの裏側にあるのなら、権限設定(アクセス制御ポリシー)が妥当かどうか検証すべきだ。全くフリーにしておいて、教育指導で全部カバーするのは無理がある。
- 特に録画映像の削除の権利がどうなっているかは重大だ。同様に関し装置の電源コントロールの権限も重要になる。本部スタッフが持つ権限、店長が持つ権限、アルバイト店員が持つ権限。これらの仕分けが適切でなければ、コンプライアンス指導は口先だけに終わる。
- 画質も問題だ。本人かどうか分からないような画質の防犯カメラを置いて何か問題があっても使い物にならないなら防犯カメラの意味が無い。ファミリーマートの広報の言い方は現地に画像の確認に行ったかどうか分からないが「画像からは確認できませんでした」すなわち劣悪画像の防犯カメラですといっているようなもの。
- バックヤードにも監視カメラが必要だね。
- 炎上などと大騒ぎになっていなくても、類似事例が過去になかったかどうか調査することも必要だろう。其の上で本当に有効な再発防止策を打つべきだ。コンプライアンス指導で一本釣りしている対応はファミリーマートの情報セキュリティ管理のレベルが不十分なものであることを伺い見せるものだ。
- メディア(HDD/TAPE)の管理状況も気に成る。基本的には消耗品だ。何処で誰の責任で廃棄されるのか。入れ替え作業の手順は適切かなど。かぎ付きの保管庫の存在、かぎ管理なども。ファミリーマート本部からは有効なマニュアル類が提供されているか。もし何もなければファミリーマート本部の言うコンプライアンス指導の中身も怪しくなる。
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このような問題・事件はファミリーマートに限らない。録画・録音を顧客との接点で行う企業はいくらでもある。下手すれば似たような状況に追い込まれる。
店舗であれ、コールセンターであれ、適切な管理手順、管理環境、法廷問題で使える十分な品質と保管期間の設定をしているかなど、再点検すべきだろう。
この事例は又、SNSの炎上がもたらすインパクトを理解するうえでも有用だ。
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記事タイトルに「機密情報」と入れたが、ファミリーマートが来店者の画像情報を機密情報として認識していたかどうか大いに疑問であるため、敢えて入れたものです。
画像認識技術が高まった昨今では、とんでもない悪用も想定しなければいけないだろう。
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<Pマーク認証の有効性>
Pマーク取得のロゴ"P10840217(04)"がホームページに掲載されている。従来からPマーク認証ではマネジメント品質への有効性は疑問視されていたが、今回は其れを露呈した格好になる。
ファミリーマートは今回の事件を契機にISMS認証への取り組みも検討せざるを得ないだろう。もっとも審査機関・審査員を間違えると元の木阿弥になります。
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