クラウドに潜むベンダーリスク?効果的な予防策は?


クラウドに潜むベンダーリスク?効果的な予防策は?

  • なかなかポイントを捉えた記事だ。大いに参考にしたい。



http://japan.zdnet.com/article/35059273/

クラウドに潜むベンダーリスク--最悪の事態を避けるために

David Gewirtz (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル 2015年01月27日 06時00分

 筆者には名誉の負傷がいくつかある。消化不良や睡眠不足ともそれなりに戦ってきた。なぜなら、筆者はインターネット接続とホスティングの提供をベンダーに委ねてきたからだ。

 20年にわたって、そうしたベンダーは数え切れないほどのウェブページをホスティングしてきたが、中にはとうてい理想的とは言えないベンダーもあった。その結果として、何日も、あるいは何週間も眠れない夜が続き、パニックになりながら代替案を探し、少なからぬ怒りを抱えてきた。

 だからこそ、サーバをクラウドに永久に放り込んでおく企業が増えるのを見るにつけ、覚悟はできているのだろうか、と疑問に思う。そうした会社は、筆者が乗り越えてきた最悪の事態を想定しているのだろうか。彼らは、自分たちの会社の将来を、本質的にリスクのあるサービスに賭けているということに気付いているのだろうか。

 こうした暗く悲惨な道へと話を進めていく前に、筆者はクラウドサービスを使わないように助言しているのではない、ということを強調しておきたい。決してそうではない。筆者自身、多くのクラウドサービスを利用し、それに頼っている。ただ、筆者が忠告しているのは、生産手段(データの運用)の管理権を外部のベンダーに明け渡す場合に、自分が負うことになるリスクを十分に認識しておいた方がよいということだ。

 この結果は極めて明白だ。全てをコントロールすることはもはや不可能になるのである。実際のところ、全てをコントロールしようとすれば、成功の可能性が制限されかねない。また、他のベンダーに任せた方がうまくいく活動に、自分のリソースがとらわれてしまう。

 しかし、全てをコントロールすることはできない以上、うまくいかない可能性があることについての対策(または、少なくともそれについての認識)を持つようにする必要がある。何かがうまくいかないことがあるのは間違いないからだ。

 手厳しいことを言っているように思えるかもしれないが、少なくとも現在は、そうではない。筆者には数十年の経験という助けがあり、そうした経験の一部は苦労して得たものだ。もちろん、それぞれの出来事が降りかかってきた時には、確かに、筆者は少々手厳しいという程度ではなかっただろう。筆者は長年サーバを運用しているので、穏やかな、順風満帆の時期もかなり長く経験していることを理解しておいてほしい。

 この記事の目的は、読者がサーバという素晴らしい船を走らせて、クラウドサービスという港を目指していく時に、嵐の前兆の雲を見分けられるようにすることだ。分かっている。大げさなたとえだ。

 どんなリスクに直面するのか感じ取ってもらえるように、2002年に筆者が書いた記事を紹介したい。この時、筆者はオフィスのT-1回線から、最終的には自宅のT1回線となるものへ移行した。ここで強調したいのは、オフィスから自宅への移行のことではない。その記事のテーマだった、ポート80を利用している時に直面した問題のことでもない。

 筆者が指摘したいのは、ベンダーは契約したことを常に守るわけではないということだ。この点は分かっているはずだ。しかし、ある契約内容に関してサービス水準合意(SLA)を交わしても、インターネットがつながらなくなった場合に、サービスがダウンしている理由を広告主や顧客に説明する苦痛やストレスについては、どの文書でも保証されない。



http://japan.zdnet.com/article/35059273/2/

クラウドに潜むベンダーリスク--最悪の事態を避けるために - (page 2)

David Gewirtz (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル 2015年01月27日 06時00分

 別の問題は、ある会社がほかの会社に買収される場合だ。元のベンダーからは良いサービスを得ていたかもしれないが、新しいオーナーの優先項目は同じではない可能性がある。もっとひどいのは、新しいオーナーが、自分の会社の競合相手である場合だ。その場合には、非常に厳しい航海に出ていることに気付くだろう。

 会社がビジネスモデルを変更した場合はどうだろうか。筆者は、局所的な小規模の「Exchange」ホスティングプロバイダーを約11年間利用していて、そのサービスにはかなり満足していた。しかし「Office 365」が登場した時に、会社側は行き詰まりを感じてビジネスモデルを変えてしまった。そのため、サービス停止時間が大幅に増え、サービスが悪化した。

 信頼できる電子メールサービスが欲しければ、そのベンダーからほかに乗り換えるしかなかった。Office 365に切り替え、その後、Office 365ではニーズに合わなくなったので、「Gmail」に移行した。

 最終的にサービスの質が下がってしまうのは、長い年月の間では大きな問題だった。あるベンダーを少しの間使うのであれば、問題がないことが多い。しかし、1つのベンダーを10年間か、それ以上長く使っていると、間違いなく、以前とは違う人々と一緒に仕事をしていることに気付くだろう。そしてその人々には、以前は提供できていたサービス品質が提供できない可能性がある。

 法的な問題や、絶えず存在するハッキングへの懸念はどうだろうか。利用しているベンダーがハッキング攻撃に遭ったり、あるいはもっと悪いことに、同じサービスを使っている会社の誰かが違法行為で捕まったりしたら、政府機関が関与してきて自分の設備にアクセスできなくなるおそれがある。

 こうしたリスクについては何時間でも話せるが、それでも読者の中には、自信たっぷりな顔をする人たちがいるだろう。そもそも、あなたはそうした類いの問題を今後抱えることはないと思っているのではないだろうか。「Amazon Web Services」を使っていて、全ての面で拡張可能で、何も妨げになるものはなく、自分は世界の誰よりも賢いと思っているのだろう。

 そんなあなたの様子が目に浮かぶ。その自信たっぷりな顔はしまった方がいい。

 実は、筆者はAmazonの得意客だ(プライム会員契約がある)。そしてAmazonは大きすぎてつぶれたりしないように思えるが、その賭けにもリスクはある。なぜだろうか。

 Andreessen HorowitzのBenedict Evans氏が言うように、「スタートしてからほぼ20年たつが、(Amazonは)まだ十分な利益を計上したことがない」。何と、非常に多くの企業から、自社のオンラインインフラストラクチャの提供を委ねられている会社が、儲けを出していないのである。

 Evans氏はさらに続けて、Amazonの場合、利益を出していないことは致命的な問題ではないと言っている。同氏がウェブブラウザを実質的に発明した人物の部下としてこの記事を書いていることを考えれば、同氏の意見には耳を傾ける価値がある。しかし結論を言えば、Amazonは利益を出していない。そして、ビジネスモデルが利益につながっていない会社に自分のビジネスを委ねることは、危険を伴う可能性がある。

 この議論全体の要点は、どのベンダーと提携するにしても、こうしたリスクファクターをきちんと頭に入れておくということだ。現在行っていることを全て入れ替えたり、移行させたりするのは可能だが、それは非常に手間がかかり、費用も極めて高くつく可能性がある。

 筆者が勧めるのは、バックアッププラン、つまり「プランB」を用意しておき、それを万が一に備えて、自分の支配下に置いておくことだ。なぜなら、いくら契約を交わしていて、評判も良く、長年にわたって良いサービスを受けていたとしても、その「万が一」の事態は起こるということを、筆者は昔から知っているからである。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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2004/04/01

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