『暴力的軍事国家がテロ対策の名目で他国のセキュリティを骨抜きにする企み?』
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- 以前、中国出張でパソコンを持参するときに暗号化してあるパソコンは持ち込み禁止とかいう話があった。当時は実際にはパソコンの内部をチェックするまでのことはなかったようだが、その権利を中国側が持つということは理解させられたかも知れない。
- 今回の話も本質は変わらない。名目がテロ対策というだけだ。本質は、中国共産党の知ることの出来ない領域が中国国内に存在することを認めないということだ。
- 中国共産党の目的遂行のために全ての情報を使う権利があるということ。個人的人権が保護される民主主義国家ではないからある意味では当然のことだ。
- 今、中国に進出している企業は彼らの期限のいい間だけ適当に踊らされているに過ぎない。子供のような愚かしい勘違いをしないことだ。知らなかったでは済まされない。
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http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42408
中国「テロ対策法案」にオバマ大統領は猛反発だが、このままでは日本企業はやられ放題に?
2015年03月10日(火) 町田 徹
オバマ大統領と習国家主席が「システム」めぐって対立中 photo Getty Images
中国が近く成立を目指している「反テロ対策法案」を巡り、オバマ米大統領が直接、中国の習近平国家主席に対して見直しを迫る騒ぎが起きている。
日本政府は中国の理不尽な規制に無頓着
問題の法案は、中国当局が中国に進出している外国企業のシステムにアクセスして監視できるメカニズムを組み込むことなどを義務付けるという内容で、米財界を中心に企業秘密を保全できなくなるとの懸念が広がっていた。
オバマ大統領自身が今月(3月)2日にロイター通信のインタビューに応じて明かしたところによると、中国に対する抗議は同大統領が自ら行うという異例のもので、習主席に「米国と商取引をしたければ、見直さなければならない問題だと明確に警告した」という。
中国政府の理不尽な規制からの保護が必要という点では、日本企業も米企業も立場は同じはず。ところが、日本政府は、本稿執筆段階(7日夜)までのところ、この問題に沈黙を守っている。政府・与党はこのところ弾力的な武力行使に道を開く自衛隊法改正議論などに多くの時間とエネルギーを費やしているが、目の前のリスクが膨らむ一方のサイバー分野の安全保障問題にも、もう少し目配りする必要があるのではないだろうか。
外電によると、「反テロ対策法案」が中国の全人代(日本の国会に相当)の委員会に提出されたのは昨年秋のこと。今年2月末には、修正案が完成した。今後、早ければ、数週間から数か月程度で成立する見通しという。
内容面で特に懸念されているのは、中国当局が外国企業の通信・コンピューターシステムにアクセスして中身をサーベイできる“バックドア”と呼ばれる機能の組み込みを義務付けるとしていること。加えて、データや情報の秘密を保持するのに必要な“暗号解読キー”や“パスコード”の中国当局への提出を義務付けることを問題視する向きも多い。
対象になるのは、中国の金融機関との取引をする可能性のある外国企業としているが、今後、対象が拡大される懸念があると米国側はみている。
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http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42408?page=2
オバマ大統領は不快感
同法案については、当初案の段階から、最先端技術が中国側に流出する懸念があったほか、外国企業が中国企業との競争上不利になる可能性があるとして、早くから米企業を中心に反発の声があがっていた。そして、米商工会議所など17団体が今年2月初め、「新規制が実施されれば、米国のIT企業の中国ビジネスに深刻な悪影響が生じる」などとした文書をケリー国務長官らに提出していた。
これを受けて、米通商代表部(USTR)のホリーマン次席代表が2月中旬、ワシントン市内の会合で「新規制は重大な貿易上の障壁だ」と、中国を牽制(けんせい)する騒ぎも起きていた。
しかし、事態は改善せず、オバマ大統領が前述のインタビューに臨み、「米国を含むすべての外国企業に、利用者を詮索、監視する中国政府の仕組みに寝返ることを強要することになる」と不快感をあらわにする事態にエスカレートしていた。
産経新聞は、米側の猛反発に対して、中国外務省の華春瑩(か・しゅうえい)報道官は3日の定例記者会見で、反論したと報じている。
「法案は内外の情勢に基づき、外国の関連法を参考にしながら作成したもので、全くの中国の内政である。米国側に冷静かつ客観的な対応を求める」と突き放すにとどまっているというのだ。テロ情報を垣根を越えて集約して、事前にイスラム過激派などによる無差別テロを防止することが同法の目的だという主張も崩していないそうだ。
中国批判はアメリカのエゴ
一方、日本の関係者の間には、米中両国の対立について「根底にはインターネットの不完全性の問題がある。そうした中で、市場の大きいもの同士が自らに都合のよい仕組みにしようと、けんかしているに過ぎない」(大手通信会社幹部)と醒めた見方もある。
というのは、これまでも中国は政府機関に対し、マイクロソフト、IBM、シスコ、オラクルなど米国企業のテクノロジーの使用を禁じ、中国製を使うことを義務付ける措置を講じてきたからだ。
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http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42408?page=3
逆に、米国側も、中国製のネット機器やアプリケーションには、データや情報を流出させる機能を持つものがあると、中国への批判を繰り返してきた。
また、言論界には「米国が一方的に中国の対応を批判するのは大国のエゴだ」という批判もある。というのは、米政府は、911テロ(同時多発テロ)以降、パトリオット法(米愛国者法)でインターネット上の検閲行為などを強化してきた経緯があり、中国を批判するのはご都合主義だというのである。
日本政府機関へのサイバー攻撃の多くが中国のサーバー経由
しかし、その一方で、近年、サイバー空間での国際的な情報戦争がもはや看過できないほど緊迫化しているのは事実だ。政府筋の非公式情報によると、外国からの日本の政府機関の情報システムに対するサイバー攻撃が、平均で5分間に1度程度の割合で記録されているという。しかも、その大半は中国方面のサーバーを経由しているというのである。
加えて、オバマ大統領が指摘したような事態が現実になれば、単に商取引のうえで外国企業が不利になるリスクが高まるだけでなく、言論や報道の自由まで侵される恐れも出て来る。
そうした中で、「(米中両)政府への国際的な信頼の差違、(両)国内での報道の自由や発言の自由などによる監視抑制の目の有無などをみれば、中国政府の対応の危うさは明らかだ」(別の大手通信会社役員)としたうえで、「日本政府は、国内にも守るべきものがあるのに、国家安全保障の観点での意識が依然として希薄。そろそろ真摯に対応を検討すべき時期を迎えている」(同)と憂う向きも少なくない。
折から、納税や社会保障を対象にしたマイナンバーの導入準備が進み、ビッグデータの情報保護への関心も盛り上がりつつある。
安倍政権は、伝統的な安全保障論議で自衛隊の海外派遣を容易にするような議論ばかりに拘らず、もっとサイバー分野の安全保障に目を向けるべきではないだろうか。喫緊のリスクは、サイバー分野の方がはるかに高いはずである。
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